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「…今日、秀一さんと私の実家に行ってきました。」
「…え!?」
美月さんは驚いていた。
「…秀一さんを紹介して、秀一さんも丁寧に挨拶してくれました。結婚を考えたお付き合いをしてると。私の両親もわかってくれました。」
「…え、そうなの?嘘…良かったぁ。何よ、秀一!行く前に私に連絡くらいしなさいよ。」
「…悪い。ちょっと急に決まってな。」
「…急に?どうして?」
美月さんが部長に問いただすのを私が横から遮る。
「美月さん…。私たち一緒に暮らすことに決めたんです。…だから、美月さんにも…秀一さんのお姉さんにも、それを認めて欲しいんです。お願いします。」
「…い、一緒に暮らす?同棲するってことなの!?…そんな、ゆいちゃん…。私が許すも何も…私からお願いしたいくらいよ。…ゆいちゃんは本当にそれでいいの?」
美月さんは驚きながら私と部長を交互に見た。
「はい。秀一さんが私を守ってくれると言ってくれていますし、…私も秀一さんの支えになりたいんです。もちろん、先のことも真剣に考えてるつもりです。」
今度は私が美月さんと部長を交互に見て、最後は美月さんに視線を留めた。
美月さんは両手を口元に当てて、深呼吸しながら自分を落ち着かせようとしてるみたいだった。
それほど驚かせてしまったのかもしれない。
そして、美月さんはその手をゆっくり下げて背筋を伸ばした。
「…ゆいちゃん…。秀一のこと、よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げた。
「あ、や…美月さん!そんな、こちらこそ…お願いします。」
私も慌てて椅子から立ち上がって頭を下げた。
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