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ゆいと昼食を済ませ、手土産を買うためになじみの洋菓子店に寄った。
ゆいがここのケーキがいいと言ったから。
ゆいの親父さんもどうやら甘党らしい。
ゆいは悩んだ挙句にフルーツたっぷりのロールケーキを一本買った。
店を出ると、ゆいの道案内で実家に車を走らせる。
…藤森にゆいの親父さんを怖いかと聞かれた時、
『怖くない』とは答えたが、
実際には怖くてたまらないのかもしれない。
こんな風に挨拶に出向くという行為も初めてだった。
けれど、ゆいとの将来を考えれば避けては通れない道だ。
ゆいが親父さんを、家族を大切に思っていることがイヤというほど伝わってくるから、なおさらちゃんとけじめをつけておきたかった。
気に入られようなんて
そこまでは思っていない。
…ただ、
ゆいの両親には安心してゆいを俺に任せて欲しい。
ゆいの家に着くまで、緊張が俺の口数を少なくしてるに違いなかったが、ゆいも同じ様子で、俺のそんな変化には気付いていないようだった。
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