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ゆいの母親に丁寧に出迎えられ、ゆいと一緒に奥の座敷に通された。
「…お父さんを呼んでくるわね。」
母親はそう言ってお茶を出した後、一度出て行った。
母親が行ってしまうと、ゆいは自分の家だというのに、まるで借りてきた猫のように落ち着かない様子だった。
「…大丈夫だ。」
俺はゆいの手に自分の手を重ね、ゆいに笑顔を投げた。
手を離すとほぼ同時に襖が開いて、父親の後に母親が続いて二人が席に着いた。
ゆいが父親と2、3言葉を交わした後、真っ赤な顔をして俺を紹介した。
俺は背筋を伸ばし、丁寧に挨拶をした。
ゆいの父親は決して威圧的ではなかったが、やはりどこか俺を探るような目に思えた。
…娘を任せていい男かどうか、見極めているのだろう。
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