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部長を紹介して、部長も丁寧に挨拶してくれた。
「ゆいさんとは、将来を考えた真剣なお付き合いをさせていただいております。挨拶が遅れて大変申し訳ありませんでした。」
「…ごめんなさい。私が機会を作らなかったから。でも、本当に真剣に…これからのことも考えてるの。」
「…これからってことは結婚を考えてるってことでいいんだな?」
「はい。」
「はい。」
二人で同時に返事をした。
お父さんはしばらく黙った後、静かに言った。
「…わかった。二人が真剣なら問題ないだろう。…西島さんはその若さで部長職と聞いています。…苦労も多いと思いますが、ゆいもそれを支えられるようになりなさい。」
…お父さん。
まだ…お嫁にいくんじゃないのに…
…涙が。
何も言えなくなる私に部長が続ける。
「…ありがとうございます。今日の挨拶で、こんなことは…驚かれると思うのですが、もう一つ、お願いがございます。
ゆいさんと一緒に暮らすことを認めて頂きたいのです。」
部長はまっすぐに父を見ていた。
「…結婚の前に…ですか?」
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