決意

7/32
前へ
/32ページ
次へ
部長を紹介して、部長も丁寧に挨拶してくれた。 「ゆいさんとは、将来を考えた真剣なお付き合いをさせていただいております。挨拶が遅れて大変申し訳ありませんでした。」 「…ごめんなさい。私が機会を作らなかったから。でも、本当に真剣に…これからのことも考えてるの。」 「…これからってことは結婚を考えてるってことでいいんだな?」 「はい。」 「はい。」 二人で同時に返事をした。 お父さんはしばらく黙った後、静かに言った。 「…わかった。二人が真剣なら問題ないだろう。…西島さんはその若さで部長職と聞いています。…苦労も多いと思いますが、ゆいもそれを支えられるようになりなさい。」 …お父さん。 まだ…お嫁にいくんじゃないのに… …涙が。 何も言えなくなる私に部長が続ける。 「…ありがとうございます。今日の挨拶で、こんなことは…驚かれると思うのですが、もう一つ、お願いがございます。 ゆいさんと一緒に暮らすことを認めて頂きたいのです。」 部長はまっすぐに父を見ていた。 「…結婚の前に…ですか?」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2163人が本棚に入れています
本棚に追加