2163人が本棚に入れています
本棚に追加
父が驚いたのにも部長は怯(ヒル)まなかった。
「はい。私は彼女の上司でもあります。毎日仕事からは早く帰してやりたいとは思うものの、実際は残業を強いてしまう毎日です。私も彼女が心配なんです。私のマンションはセキュリティも万全ですし、住んでいるのはほとんどが世帯持ちです。一緒に暮らせるのなら、私も安心して仕事に打ち込めます。」
「お父さん、お願い。そうすればご飯も作ってあげられるし…ご飯をしっかり食べなきゃ…お父さんだってわかるでしょ?それに…秀一さんは私をちゃんと…守ってくれるから…。」
「お願いします。」
「お願いします。」
二人で頭を下げた。
「…ゆいのアパートはどうするんだ?」
「…アパートは解約手続きをさせて頂きます。…それが私の決意と受け取って頂いて構いません。
ゆいさんのことも、ゆいさんの帰る場所も、私が必ず守ります。」
…部長…。
父は母と顔を合わせて、小さく息をついた。
「…わかった。…ゆい。西島さんに迷惑掛けるんじゃないぞ。」
そう言って今度は大きく息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!