誓い

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今週末は、例の結婚式場のモデルの件で、私と部長はちょっとした旅行気分を味わえることになっていたから、私の気持ちはふわふわと週末のそれに向かっていた。 まさに棚からぼた餅…の旅行。 部長と二人きりのお泊まりは初めてで、…モデルの件を除けば…私はすっごく楽しみだった。 金曜の夜に出発することにしていたので、金曜は出来るだけ早く帰りたい。もちろん、土日の休日出勤も出来ないから、この週、私はいつにも増してハイスピードで仕事をこなし、残業も頑張った。 いつも以上の忙しさにも関わらず、気持ちは軽く、疲れも全く感じていなかった。 そんな私の態度を見て、琴ちゃんや池口さんが不審に思うのも無理はない。 「…ゆい先輩、残業なのにやけに元気ですね?…何かいいことありました?」 「…それとも、今週末にあるとか?」 琴ちゃんの言葉に池口さんが付け足した。 「…え?」 二人から見れば私の態度はわかりやすかったのかもしれないけど、そんなことに気付かれると思ってもいない私には二人がエスパーのように思えた。 「…どうして…そう思うんですか?」 「見てればわかる。」 「バレバレですよ。」 私は顔を真っ赤にしながら手元の白いペンを見つめた。 部長からプレゼントされたそのペンに 『…私って…わかりやすい?』 部長に聞くように、心の中で問いかけた。 そして、木曜の夜 荷物を準備万端にして、遠足前の子供みたいにドキドキしながら金曜日を迎えた。
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