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「…え?」
私は何のことかわからず、少しだけ振り返って部長の目を見る。
目を合わせた部長がその視線をツリーに向けると同時に人差し指でツリーを指し、私もそれに誘導されるように視線をツリーに戻した。
…何だろう?
「…サンタのプレゼントはどこにある?…靴下の中だ。あの小さな靴下の中にゆいへのプレゼントがあるはずだ。」
「…嘘…。」
部長は私から腕をほどいて、優しく背中を押した。
「…嘘かどうか…確かめて来い。」
私はゆっくりとツリーに近づく。
室内のろうそくの揺らめきに、めまいがしてきそうだった。
部長が言ったのはツリーに飾ってある小さな靴下のオーナメント。ちょうど私たちの位置の真正面に赤と緑のストライプの小さな毛糸の靴下がつり下がっていた。
靴下に手を掛ける前に、部長を振り返ると、部長はいたずらっぽく笑ったままの顔で頷いた。
…靴下の中には小さな箱。
包装はされていないけど、その箱自体が何かの宝石みたいに煌(キラ)びやかに見えた。
「…これ…。」
心臓の音が急にうるさく鳴り始める。
部長を向くと、私を手招きで呼んだ。
私がまた部長の中の定位置に着くと、部長が私に腕を回しながら
「…本当だっただろ?…でも、中身がちゃんとあるかはわからない。…開けてみろ。」
私は震える手で小さな箱の蓋を開けた。
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