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真珠湾攻撃にて開戦した太平洋戦争も終盤を迎えていた。
ミッドウェー海戦での敗北から敗走を重ね、物量の差にも喘ぐ日本に最早勢いに乗るアメリカ軍の猛攻を耐えるなど、到底無理な話であった。
物量の差、技術開発意識の差、士気の差は痛烈に響き、最早日本の降伏は時間の問題であった。
しかし、それでも日本が戦い続けるのには理由がある。
一つは海軍の最期にして最強の切り札『戦艦大和』を含む艦隊。
そして、もう一つは帝国陸軍が誇る最早時代遅れと揶揄されるような部隊『天照強襲大隊』だ。
かつてその身に神を宿しその超常的な力を借りて御国を守ったと言う『神降ろし』を含み結成されていた『天照特別警察』の名を引き継いだ部隊。
そこに所属する団員もまた、偉大な『天警』を引き継ぐ者たちだった。
上野陸軍中佐を司令とする通称『天強』には日本に残る僅かな『神降ろし』のうち数名が所属しているが、それだけで何故切り札と呼ばれるのかと言えば、その『神降ろし』は『ある最強の神降ろし』の血筋であることからだ。
砂原涼華 陸軍准将。
かつて『天警』を率いた日本最強と吟われる『神降ろし』である。
涼華は産後の衰弱で『神降ろし』ながら若くで亡くなり、唯一の娘は『神降ろし』ではなかったのだが、その兄である砂原優人 伯爵の双子の娘二人が『神降ろし』であり、同時に叔母に当たる涼華の優れた資質を受け継いでいたのだ。
その名前を『砂原 百合』と『砂原 楓』と言う。
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