序章 我ハ追想ス

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「戦わないといけないの…新たに産まれてくる子どもたちの為にも。」 その横で、戦闘機の機銃を束ねた物を手にした楓が言葉を続ける。 「これが私の最期だ、軟弱な米兵どもに一太刀浴びせてくれるわ!!」 百合は絶叫と共に両手の砲を乱射、目の前に敷かれた米兵の陣へに猛然と突撃を開始する。 続いて楓も、両手の機銃から火を放ちながら百合の後を追う。 「隊長っ!!」 その後方の残雪たち残存部隊も追従し、米兵の陣に肉薄を開始する。 ここに、記録にすら載らなかった戦闘『ヒガンバナ隊の戦い』が開戦したのだ。 『天強』最後の部隊が突撃を開始してから僅か3分後、米軍による迎撃が開始された。 僅か100人の隊員に4つの砲台、小中破状態の3機の軽戦車しか持たぬ敗残の『天強』を迎え撃つのは米軍の精鋭迎撃部隊。 その数は戦車12機に装甲車18台、兵士役2000人からなり帝国軍を迎撃、壊滅せしめた『アメリカの強兵』の異名を欲しいままにする無敵の軍団だった。 横列展開した『アメリカの強兵』は次々に進軍する『天強』に砲撃を加える。 密集隊形で進む『天強』を砲撃により包囲し、ただの一人も逃がすことなく殲滅する為の、無慈悲な戦略だ。
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