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アメは自分が厭われているのだと思った。
つまり、そこにいるだけで、自分は迷惑なのだと忖度して落ち込んだ。
アメの溢れる哀惜は、いつまでたっても癒えることはないのだろうか。
アメは黴臭いレインハットを目深にかぶり直し、黙ってまたとぼとぼと歩き出すほかなかった。
アメを理解し、受け入れてくれる人は、そんなに多くはないのである。
アメはもはや濁流の様相を呈している小川に沿って、へたへたと更に歩いて行った。
それからどうにか何度も歩いたことのある見慣れた国道に出て、行き交う車の傍を、ガードレールに沿って、また一日中ずっと歩いた。
すれ違う車は、アスファルトの上で行き場を失い、滞った雨水を平気で歩道に噴き上げながら走り去って行った。
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