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アメは泥水をかぶってもなお、顔に着いた泥を拭うこともせず、ひたすらに歩くことを止めなかった。
次の日の朝、アメは長閑な農村地帯にやってきた。
アメの来訪と共に、明け方降り出した雨に、畑や田んぼの農作物の葉っぱが、土埃を落とし、ピカピカに磨かれていった。
そこは何度か、アメが訪れたことのある場所だった。
見慣れた農村の風景の中、アメはまるで自宅に帰るように、風情のある古民家が建つ、農家の敷地内に入って行った。
そこの母屋の軒先で、アメが来るのを待っていたかのように、一人の年老いた農夫が立っていた。
「やあアメさん、来ましたね」
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