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成長
「いやー、ユフィも着いて行くー。ユフィも、ラーバハストを守るもん、ねーダーマットー。」
6歳くらいの女の子が男の子に駄々をこねていた。
「いや、だめだよ。ラーバハスト騎士団はあそびじゃないんだ。剣術を磨いていつか、本当の騎士になるための組織なんだ。女の子は入っちゃだめなんだ。」
と、苦笑いしながら答える。どうやら強く断れないらしい。
「こーら、ユフィ。ダーマットも困ってるじゃない。それに、女の子が、剣術なんてしたらいけません。」
「母さん。ほら、母さんもああいってるしね。」
ダーマットが、母さんと名乗る人物はフィオナである。ダーマットは、今年で8歳になった。男の子の、成長は早いというが本当で今では、騎士になることを夢みている。
「えーー。ユフィも、剣術できるもん。」
ユフィは、掴んだダーマットの服の裾を離そうとはしない。
「じゃあ、ダーマットが早く帰ってきて、ユフィと遊んであげればいいんじゃない?」
にっこりとフィオナはダーマットに言う。ユフィは、ダーマットが、夕方まで友達と騎士の真似事をしているのを知っていた。だけど、最近は友達と遊んでばかりで教会の子供達と遊んでいないのはたしかだ。
「わかった。」
ユフィが、機嫌を取り戻して元気に返事する反面、ダーマットはたじろえでいた。
「ダーマットは、ユフィと遊ぶのはいや?」
「…そんなことないよ。ユフィと、遊ぶのも楽しいよ。じゃあ母さん、今日は帰ってくるから。」
「はい。さすが、お兄ちゃんね。」
「じゃあ、行ってくる。」
ダーマットは、手に木剣をもって走って行った。
「ご飯までには帰ってくるのよー。」
ユフィが、手を口に当てて大きな声で言う。ダーマットは、それに答えるように、木剣を振る。
「あらあら、取られちゃったわね。」
そう、いつもはフィオナがこのセリフをいうのだ。
「じゃ、ダーマットがかえってくるまで、お母さんと遊ぼっか。」
「うん。」
とユフィは、フィオナの手を握りながら教会の中に入って行った。
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