目覚め

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ある朝、協会の前で鳴き声が響いた。 しんと静まり返った朝には似合わない大きな鳴き声。協会の者がそとへでて周りをみると、目の前のマリアの像にタオルケットでつつまれた、動くものがあるではないか。なかを確認すると赤ん坊が入っていた。 「ミスター・グランバニエル。ミスター・グランバニエル。きてください。男の子の赤ん坊がこの子の望まない方向に向かわせるべきではない。のお、ダーマット。」 「ダーマット?」 「この子 講堂には、大きな像が立ててある 。その、祀られ、像の前に捨てられています。」 「なんと、かわいそうにふるえているじゃないか、早く中に入れてやりなさい。」 すぐに、中に入れてやり泣き止ませるように人肌に温めたミルクをあたえた。 ミスター・グランバニエルと呼ばれた初老の男性は赤ん坊を覆っていた布をどけて、ゆっくりと顔を覗き込む。 「なんとも、愛らしく可愛い顔じゃないか。本当に、捨てられたのだろうか?こんな可愛い赤子を…。もしかした、置いただけかもしれないから、君は外に赤子のことを書いた書いた紙を貼ってきてはくれないか?」 「わかりました。」 そういって、シスターはだいていた赤子をグランバニエルに預けた。 このような、薄い布ではなく暖かい厚い布で温めて、やろうと布を取ったときにふと目についた。 「これは…。成る程、全ては必然か…。」 グランバニエルは、赤子の心臓の部分をなでた。心臓の部分には複雑な円形の文様がはいっていた。 幾何の印契。 それが、その印の名である。 基本的に、人に与えられた魔法と分かる範疇以外の特殊な力などはだいたい、神に与えられた力か、悪魔に堕ちたと言われるかのどちらかだ。
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