切な過ぎる立場

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半年近く付き合っていても、一緒に朝を迎えたことは一度もなかったのだ。 「ねぇ」 ラブホテルのベッドの上で。 いつものように私の服を脱がそうとする流司の手を止め、私は声を出した。 語尾を上げ、甘えるような口調で。 「なに?」 「旅行に行かない? 大学が夏休みの間に」 流司は答えず、無視して服を脱がしていく。
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