切な過ぎる立場

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指や唇の丁寧な動き、髪の毛や身体から放たれる彼の匂い。 薄目を開けると見える彼の美しい顔や身体。 私はそれらすべてに陶酔していた。 そして、私たちが一つになろうとしていた時。 突然、彼の携帯が鳴る。 私たちは同時にビクッとなり、侵入音によって甘美な時間が中断された。 私と一緒の時に彼の携帯が鳴ったのは初めてだ。 マナーモードにしていたか、電源を切ってくれていたのだろう。 流司が何人の女性と付き合っていたのかは不明だが、 そういう気遣いというか、最低限の優しさは持っていた。
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