切な過ぎる立場

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一人暮らしの住まいがどこなのかも。 出身地についても。 家族や友達に関しても、一切話そうとしなかった。 趣味のサッカーや株取引、読んだ本や観た映画。 そんな話はしても、流司は自分のプライバシーに関して頑なに口を閉ざしていた。 だから“塾講師”という具体的なバイト内容を話してくれて、とても嬉しかったのだ。 身支度を整えてラブホテルを出る直前、私は流司に訊ねた。 「また会えるよね?」
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