未完成世界

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未完成世界…… つまりはサブキャラにすら成れなかった 落ちこぼれの集まる世界だ この僕、樋野 楓(ヒノ カエデ)も その未完成世界の住人の一人であることは 口に出して言うまでもない この未完成世界に来るためには条件がある ひとつめは、小説にラノベ、マンガ、アニメの プロットの段階で没にされる事 そして、ふたつめは そのキャラが“完成”されてない事だ 僕が完成していない事は 脳内選択肢が全く出ない事だ これは主人公にあるまじき事態だ そんなことで僕は 未完成世界住人の仲間入りって訳だ 「お兄ちゃん!! 朝だぞ!!早く起きないと遅刻しちゃうよ!!」 僕が寝ぼけていると腹部に違和感… そして、もう聞きなれた声… これはもう間違いなく紫(ユカリ)だな… 僕は少しだけ目をひらいて 股がっている人物が 紫だと言うことを確認する まぁ、分かっていたんだけどね 「眠いんだ… 僕は、なんだかとっても眠いんだ紫…」 「そんな…… お兄ちゃん!!死んじゃダメぇぇええッ!!」 僕は何時ものように紫をからかう コレは僕の朝の楽しみ見たいな物だ コレをやっておかないと 起きた気がしないからね。 「嘘だよ、大丈夫 そう簡単に死んだりしないからさ」 「ホントに……?」 「当たり前だよ、可愛い妹を置いて 死ぬ訳にはいかないからね」 そう言って僕は 我が残念な妹の頭を撫でた 「もう…止めてよお兄ちゃん… 恥ずかしいじゃん……… でも、お兄ちゃんの手って落ち着くよ…」 なんか満足そうな紫を見ていると なんだか犬みたいで 可愛く見えてしまった あぁ、僕って変態なのかな?
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