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HR終了のチャイムが鳴り、今日一日の学校での活動が終わる合図が響く。生徒の大半はここで部活に向かったり、残って勉強したり、様々な用事が残っている。だが、こんな俺だ。学校になんて残ることは一切ない。
いつもなら学校が終わったとなるとこっちの勝ちといっても過言ではない俺の内心である。
いつもは、だ。
いつもは。
今日の俺は少し違っていた。
家には用事がたんまり残っているからだ。
そんなに残っているとなっては帰る足が重いってもんだ。
それでも学校に用事がなに一つないと言うのに、こんなところに残るのも暇以外の言葉がでてこないわけで。
え?勉強?
するわけない、する必要すら皆無と俺は思うものだ。
俺は家へ重い足取りで帰ることにした。
現在3時20分。帰路。
家から電車通学している俺は1人家に向かって帰っていた。
ぼっち下校とか思ったやつは死んでほしい。
「あ、あの」
急に後ろから他校の女子に声をかけられた。珍しい。
なんの用だろうか。
「あ、えと、これ、落としましたよ?」
目の前の女子の手には俺が制服の胸につけていた校章だった。取れて落ちてしまったのだろう。
「…ども。」
軽く頭を下げてそのまま帰ろうと足を進めて行った。
「……ガラ悪…堂上高校の制服よね、あれ。」
「頭染めているのかな…なんか怖かった…」
後ろからボソボソと声が聞こえた。恐らくさっきの女子とその付き添いだろう。
外見を見てそれだけで決めつける。人間とはそういうもの。だけど、それはとても気分の悪いものである。
別に何かしたわけではないのにこのなりだから、人が怖がってしまって仕方が無い。だから、誰にも声をかけないようにして来た。
怖がられるのがうざかったから。
それが、俺が1人でいる理由。
「…本当、なんでこうなんだろうな…」
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