1章 罪を扱う少年

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20XX年4月1日。僕、『桜花煉(おうか れん)』はいつものように学校に行くために家を出る。なぜこんな日に学校へ向かうかと言うと、今日から僕の学校は始業式なのだ。 今日もどんよりした天気だ。ここ数日雨は降らずとも雲が空を覆っておる。 こうも天気が悪いと気分もどんよりしてくる。 「早く学校に行こ」 僕は足を動かす速さをあげる。街はいつもと変わらず通勤や通学で賑わっている。 いつもより10分程早く駅についた僕はいつもより10分早い電車に乗り込むことにした。 改札口に携帯タブレットをあて、慣れた動きでホームまで進む。するとちょうど電車が来たところだったので素早くその電車に乗り込む。 電車の中はいつもより混んでいた。1本早いだけでこれほど人の数が違うのかと疑うくらいだった。 僕はその人混みをじっと耐える。だが発車5分で人酔いをしてしまった。 発車5分で人酔いしたのは自分でも情けないと思う。 人酔いに苦しみながら15分経つと、目の前に巨大な建物が現れた。僕の通っている『国際高等学校』である。 名前の由来は簡単で、ただ単に外国の奴らが日本に命令して作らせたらしく、その際外国との交流がとれるな!と言う理由なのである。しかしこれは表であり、裏では『奴隷学園』と呼ばれる。 なぜ『奴隷学園』になったかの説明も込みで言うが、この国は今国としての役割を果たしていないのが現状である。外国の奴らに言われたことをバカ正直に行っているだけ、そう、まさに奴隷のような扱いだと思われても仕方ないことしかしていないのだ。だから『奴隷学園』。 とりあえず僕らの生活に今のところ支障がないから生徒からは誰も不満は出ていない。 でもこの名前はやっぱ嫌だよな。 駅に着いた電車は停車し、僕は人混みから抜け出すようにして降車した。 人酔いはこの後10分は消えなかった。
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