1章 罪を扱う少年

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鈴に言われて渋々時間を有意義に使うことになった僕は教室をでた。鈴もついて来ている。 別に寝ることも僕にとっては有意義な過ごし方なんだけどなぁ。 「ねぇ鈴?なんでついて来てるの?」 「え!?な、なんとなくだよ?」 「男の子になんとなくでついて来たら誤解されるよ?」 「そ、そうだよね」 僕が一応指摘したものの、相変わらずついて来る鈴。いつもそうだがなんで鈴は僕の周りにいるんだろう?鈴に女の子の友達はきちんといるはずなんだけどなぁ。 「ねぇ煉!またいつものところに行くの?」 「うん。今日中に終わらせたいからね」 そう言い僕は校舎をでて、裏の廃墟と化した図書館に足を運んだ。 大きな3階建ての図書館は窓が割られ、壁には一部穴があいてるほどボロボロな場所。普段は立入禁止のテープが張られている。 僕はそのテープを跨いで進む。鈴も後に続いた。 中は当時のまま本が並べられている。入口から見て右手にはカウンターがあり、そこで受付をしていたらしい。カウンターの上のパソコンはもう使えないほどボロボロになっている。この図書館は1階から3階までフロアの中心が筒抜けになっており、カウンターから見える範囲なら大体隅々まで見えるようになっている構造になっている。 「あ、相変わらず不気味だね」 横で鈴が毎回お決まりで言う感想を今日もいつものように言ってきた。確かに光が指してるところとそうでないところの差がちょうどいい具合に雰囲気を醸し出している。 「鈴は毎回ビビリすぎだよ。ここには毎日来てるでしょ?」 「そ、そうどけどさぁ」 先に言っておくが僕と鈴は立入禁止区域の図書館に無断で入っているわけではない。きちんと先生の許可を得て入っている。 僕は図書館の奥へと進んだ。 1階奥、カウンターからちょうど死角になっていて見えない場所に一つ扉がある。この先が僕の放課後の活動場所。 ギギギギギギ 古びているせいか鈍く突っかかるような音が図書館に響き渡る。いつ聴いてもうるさい音だと僕は思うが、鈴はこの古臭い音が好きらしい。確かに今頃こんな古い扉はほとんど撤去されてるから珍しいかもしれないが、それを踏まえてもこの音を好きになる理由が僕には見つけられない。 僕はその扉の奥へと進んだ。
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