1章 罪を扱う少年

5/53
前へ
/61ページ
次へ
扉の先にはカウンターにあったような古いパソコンではなく、最新のタブレットPC(略してTPC)が3つ設置されている。 その周りには何もなく、あるとしたら2階に登る鉄の階段があるだけだ。床もコンクリートと、図書館とは全く違う造りになっている。 ここはいわゆる図書準備室と呼ばれると場所だった。今は本を全部部屋の外に出したが、ここを使い始めた時はまず本の移動を1ヶ月し続けるほど本が貯められているほど本の数が多かった場所である。 ちなみに今はアニメーション部の部室になっている。僕と鈴はその部の部員である。 主な活動内容はCMに流れているこの学校のアニメーションを作っている。だがCMを流さなくてもこの都市にいる高校生の年の人達はみんなこの学校に来るので意味が無いと思うが、部活として作れと言われたら作るのが僕達アニメーション部である。 「よし、この時間でキレのいいところまで進めよう」 僕はTPCに手をかざした。するとあらかじめ登録してあるのですぐさまモニターが表示される。 椅子に座り、前回終わったところから作り始める。鈴も同じようにTPCに手をかざし、モニターを表示させる。 「今日で終わる予定だから、煉!ラストスパートだよ!」 「うん!頑張ろう!」 そこから僕と鈴は全く会話をせずにアニメーションを黙々と作り続けた。 ただ黙々と……。 キーンコーンカーンコーン と、ありきたりなチャイムが学校中を響き渡った。HR開始5分前のチャイム。登校完了時間である。 「煉!もうこんな時間だよ!遅刻扱いにされちゃう!」 「うわ!本当だ!鈴!すぐ戻ろう!」 「う、うん!」 僕は鈴と一緒に走り出した。 図書館を抜け、校舎の裏にある花壇を横切り、玄関に入る。普段の倍の速度で靴を脱ぎ、履く。階段を足にムチを入れて駆け上がる。踊り場を2回通り、3階に上がってすぐ目の前にある自分の所属している教室の扉に手をかけた。 ガララ! 勢い良く扉を開けたせいか、クラスメイトは皆驚いた顔をしていた。 「あ、えと……。遅れました」 「私も遅れました。ごめんなさい」 僕と鈴は頭を下げた。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加