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ある日、いつものように俺は放課後、図書室に通っていた。
しかしもちろんだが勉強の為に通ってる訳じゃない。俺はライトノベル。通称ラノベを読みに来ていたのだ!
次はどんな強敵やステージが待っているんだ!?と続きが気になってしまう冒険系。一体誰と誰がくっつくんだ!?とやはり続きが気になってしまう恋愛系。やべぇ、くだらねぇけどおもしれぇ!とつい読み進めてしまうギャグ系。その他にも色々あるラノベは俺のこの現実逃避したい気持ちに答えてくれている!
ラノベまじサイコー!!(心の声)
「っと、もうこんな時間か。そろそろ帰らないと」
気づけばもう時計は17時になっている。電車の時間を考えるとこの時間に学校を出なければ間に合わない時間である。
「俺がコミュ障じゃなかったら今頃友達作って一緒に帰ってたんだろうなぁ」
切ない気持ち。
そんな気持ちを抑えながら俺は背中にスクバ(スクールバッグの略)をかつぎ、図書館をでる。
そして図書室をでてすぐの曲がり角を曲がろうとすると、
どん!
と誰かとぶつかってしまった。
「やべ!ごめんなさい!」
と俺。てか珍しくすっと言葉がでた。これってコミュ障脱出か!?
……しかし俺は気づいた。
(あれ?こっから何話せばいいんだ?)
全くコミュ障から脱出できていなかった。むしろ現実を見て余計迷宮に潜ったらしい。
(どーしよー!ここはやはり何か言った方がいいのか?それとも素通りするか?いや、それはさすがに失礼か)
とまぁこんな感じに、頭の中では色々考えてるんすけどねぇ。言葉にならないというか初対面がまず無理というか……て感じです。
(それにしても相手もずいぶんおとなしいな。て、ん?)
恥ずかしくて俯いててよく相手の顔を見てなかったのだが、ぶつかった相手は闇色(真っ黒ではない紫混じりの黒)の髪で、腰くらいまでの長さがある女の子だった。しかも美少女。顔のパーツは整っており、つり目なのだが全く怖くなくむしろ気品を漂わせている。
学年は制服に付いてある校章の背景色が青色なので俺と同じ学年らしい。
俺は勇気を振り絞り声をだす。
「だ、大丈夫っすか?」
同い年なのにタメ口ではないところに少しガックリするが、一応言えた。あとは彼女の言葉を待つのみ!
そして彼女の口からでた言葉は俺を驚かせた。
「お前、コミュ障?」
「……え?」
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