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「だからコミュ障かって聞いてるんだ」
……えと、何ですか?この美少女は?見た目と話し方が全然マッチしてないんですけど。
(でもなんか怒ってるっぽいし、ここは返事した方がいいよな)
「まぁ、当たりです」
すると美少女は不適な笑みを浮かべだした。せっかくの美形が台無しだぞ。
そんな俺の気持ちを知らない美少女は口を開ける。
「お前可哀想だな」
「初対面にしかも急に言われたくねぇわ!」
急になんだよ!なんてムカつく女だ!こんな女、美少女でも何でもねぇよ!
「ほら、お前今すっと言葉が出た」
……あ。
「ふふ。お前はきっとコミュ障と言う名のダンジョンから脱出できるぞ?」
……一体こいつは何者なんだ?急にぶつかったと思ったら今度は急にコミュ障が治るとか言いやがって。
「お前、名前はなんと言うんだ?」
「篠山大紀……です」
「大紀か。私の名前は赤坂茜だ!よろしく!」
赤坂は右手を俺に差し出してきた。でもこの手を掴むことに俺は躊躇してしまう。
「どうした大紀。私達は偶然この場所でぶつかって知り合った。これは運命だと感じないか?」
赤坂は笑顔で微笑んできた。
俺はその時の赤坂の笑顔に見とれてしまった。笑った赤坂の顔がとても可愛かった。
俺は赤坂の右手を掴んで握手を交わす。
「これで私達はもう友達だな!」
『友達』
この学校に来て初めてできた友達。
たとえそれが上っ面だけの友達だとしても、俺は嬉しかった。
「あぁ。俺達は友達……だな」
その日、俺はこの学校に来て初めて笑ったかもしれない。
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