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「みーちゃん、聞いてくれてるかな?」 その問いかけは既に何度か目だった。 陽子の声が耳に届きハッと我に返ったような顔をした美雪は、慌てた口ぶりでこう言った。 「あっ、あの……ここって、何屋だったんでしょうか。マッサージ屋かと思ってたんですが……」 動揺したような顔をしている美雪に対し、陽子はさも冷静な顔つきで返答をする。 「マッサージもしますよ。その人の症状に合わせて。だから、人によってはマッサージをしない人もいるけど、今日のあなたを見たところ、何か話すよりも、きっとまずは体をほぐした方がいいと思うわ」 「そうですか」と返事をしたものの、頭の中は別の疑問がどっと溢れてくる。 「マッサージって、一体いくらなんですか?下に料金も書いてなかったし、だから、その……」 「心配しなくていいわ」 口を横に大きく開き、殊更幸せそうな笑顔を見せる陽子に、美雪はキョトンとする。 「うちは料金設定ないの。その都度その人が支払いたいと思う料金でやってるから。お任せなのうちは。だから、支払いの金額はみーちゃんが決めていいのよ」 「え???そんな話ってあるんですか???」 ウマすぎる話には罠がある。これは宗教の勧誘か、エステか。実は気がついたらすっごい高い物を買わされるんじゃないのか。 瞬時にそんな事があたまに過ぎった美雪の顔はひきつっていた。 そんな美雪の心を見透かしたかのように、陽子はあっけらかんとしている。 「みーちゃん、あれでしょ?宗教とか、エステとかみたいに、気がついたらどんどん高額な物買わされちゃうって、今、怪しんでるでしょ?」 ―その通りだ―
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