43人が本棚に入れています
本棚に追加
「陽子ちゃんに言われてさぁ、私も気がついたんだ。仕事本当に好きだったら、勝手に朝早く来ちゃうし、言われなくても、やってるもの。だから、最終的にはほっといたのよ。そしたら、辞めちゃったけど、彼女の人生はうちの会社だけじゃないしさぁ。それに、、、結局前は、自分の査定が気になっていただけな気がする。良い上司、良いリーダー、そして自分の年俸ってね。」
「査定に影響出た?」
「上からは多少言われたけど、まぁ、特別って程はないかな?それに、新しいプロジェクトが始まってるし、そっちで結果を出すことが本分だからね。気にならないよ、今は。」
「有美さん全然上手くいってるじゃないですか、本当は。悩んだフリしちゃって。」
「うーん。確かにそうね。部下が辞める事にも心が折れなくなったあたり、私も随分変化してるかも。」
陽子がそっと時計の方に視線を向けると、時計の針は二時を指していた。「そろそろかな?」と、思ったと同時に、コンコンと扉を鳴らす音がする。
「どうぞ」と、声を掛けると、扉から美雪が顔だけ覗かせる。
「陽子さん、あの二時からお約束されてたって方が来てらっしゃるんですけど。」
「西園寺さん?」
美雪は背後にいる人に、確認をし「あぁぁ、そうみたいです。」と返事をした。
「すぐ迎えに行くから、ちょっとリビングで待っててもらえるかな?」
美雪は、「はい。」と答え、扉を閉めた。
扉が閉まった事を確認すると、有美はコソコソと小声で問いかける。
最初のコメントを投稿しよう!