20人が本棚に入れています
本棚に追加
「佳菜子ちゃん、今日もお花ありがとうね。助かるわ。」
お花を渡された訳でもない陽子が密香にお礼を言っている。美雪はますますこの状況がつかめなくなっていったが、そんな美雪の心情に誰も構う事なく話は進んでいく。
「これくらいですから、私に出来る事、気にしないでください。」
「あの!佳菜子ちゃん、一緒に写真撮ってもらっていいですか?今、ブログやってて。それで、お花とか紹介してて。」
「いいよ!もちろん!」
「あっ!でも、ダメか。これ、何方からか、頂いたものですよね。私がそんなブログアップしたら、、明智蜜香のイメージが、、。」
取り出したケータイを悲しそうに下げながらきららが言うと、密香がちょっとバツが悪そうな顔をした。
「あぁぁぁ、、大丈夫、大丈夫、、、実は、これ、今日は自分で買ってきたんだ。」と、あたふたしながら答える。
その姿に今度は陽子が申し訳なさそうな顔をする。
「えぇ~、そんな、余った時だけでいいんだから、そんな気を遣わなくてもいいのに。」
「全然、気は遣ってなかったんだけど、なんかこういうの自分でも恒例にしたくって。ただ今日は持ってく花がなかったんだけど、行きたくて。で、花がないから行きづらいな、なんて、一瞬悩んだ時に、『なんでこんな事に悩んでるんだ?』って自分でも思って、じゃぁ自分で買おうと、元々花はそういうものだってようやく原点に返ったんですよ。もらうばっかりじゃなくて、たまには私も自分で買わないと。でも、自分で買ったのを気づかれたくなかったから、お正月っぽくないお花を選んじゃったんですけど。」
空いてる片手で頭を撫でながら、恥ずかしそうに告白する佳菜子の姿に、みんな微笑ましい気分になった。
最初のコメントを投稿しよう!