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二年も続けていたブログを衝動的な感情で全てを消去してしまった事に少しばかりの寂しさを覚えたものの、新しく迎えた朝の中には、縛られていた何かを抜け出したような妙な爽やかさがきららの体を支配していた。そして、昨日購入した沢山のグッズを抱え、きららは会社に向かっていった。 会社に出向くと、きららこそがまるでアイドルかのように、周りが飛びついてくる。 「昨日のコンサートはどうだったのか?」と、更衣室の中は、着替えよりも、きららの話が聞きたくて仕方がない。「明智蜜香に会えたのか。」の問いに対し、きららはケータイの中にある写真をそっと見せた。きららの周囲に集まっていた者たちは、更に大きな歓声を上げた。 「みんなにお土産も買ってきたから、お昼の時になったら、配るね。そろそろ急がないと工場長に怒られちゃから、急ごう。」 きららが周りにこんなにも人が集まってきたことも、こんな風にみんなに指示を出すことも今までなかった。自分の中で何かが変わり始めている。そんな風にきららは思ったが、その気持ちに浸れる現実は一瞬だった。
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