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自分でも考えられないような運転さばきを見せ、きららはあっと言う間に「許し屋」の大きなテーブルの前に座っていた。二時間程かかる所を、一気に一気に駆け抜け、一時間ちょっとでやってきた。走ったのは車で、きららではないのに、まるで彼女自身が全速力で走ってきたかのように、彼女の息切れは激しかった。
「どうしたの?」と優しく声をかける陽子の言葉に反応出来ない程だった。
「少し横になる?今日の相談は全部終わって、誰も来ないから、自由にしていいよ。」
きららは、うつむき加減で顔を何度も横にふった。
「どうしたぁ」と、笑いながら、きららの横に座り、陽子は彼女の手に自分の手を重ねた。
そこに、ポツポツと涙が落ちてくる。
「大丈夫。泣きたいだけ、泣いて。今日はたっぷり時間があるから。」
すすり泣くきららの気持ちが落ち着くのには、しばらく時間がかかるだろうと思っていたが、きららはむせながらもゆっくり自分の身に起きたことを陽子に話し始めた。
「私、、、私、、、、嘘がばれちゃうかもしれない、、、、、。」
切迫していた気持ちを白状すると、より大きな粒の涙が陽子の手に当たる。
「一緒にゆっくり考えようか。涙が止まって落ち着いたら、考えよう。」
一時間ほどして、きららの様子は落ち着きを取り戻した。その様子を確認出来ると、陽子は、一言目にこう言った。
「きららちゃん、全てはグッドタイミングで起こっているの。」
この言葉、昨日どこかで聞いた。と、額に力を入れて、どこでその言葉を聞いたのか、きららは必死に思い出していた。
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