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喫茶店まで互いに車で来ていた二人は、一旦有美の自宅まで向った。そして、有美の車を自宅に止め、則子の運転で江ノ島を目指した。 鼻歌交じりの浮かれ気分で、則子は運転している。喫茶店では見ることの出来なかった、本来の笑顔がそこにある。突然の提案に一旦は躊躇したものの、彼女の久しぶりの笑顔を見て、「則子の提案を断らなくて良かった。」と、有美は思っていた。 「私、どれくらいぶりかなぁ、江ノ島行くの。」調子よく続けていた鼻歌を突然止めて、則子は考え出す。 「私は、う~ん。あれ?どれくらいだ?あれ、ひょっとしたら、則子がまだ独身の頃に、一緒に祈祷しに行った事があったじゃない。あれが最後だっけ?、いや、それはないよな、あれ?」 「あれ!懐かしいよね。拓哉と別れた直後に二人で行ったよねぇ。恋愛祈願しに。」 「そうそう、二人で同じ時期に別れちゃって、行ったね、江ノ島。懐かしい。」 「えっと、二五の時だから、えっと、、、、え?十七年前?」 突如顕になった具体的な年数に気が付くと、思わず二人とも吹き出した。まさかあれから、そんなに月日が経っているとは思えなかったからだ。 「あの年に産まれた子、もう高校生なんだよね。そんなに時間経ってるように思えないのに、早いよね~。」則子はあの頃を懐かしむように言った。 「そうだよね、でも、則子の子供だってそうでしょ。上の子、克也君だっけ。あの子ももう中学生にはなるでしょ?」 「なるよ、なるなる。克也はもう中二だよ。尖ったナイフ真っ只中よ、もう。来年は、受験だしね。彩だって来年中学生だからね、早いよね。」 江ノ島神社での祈祷のおかげか、則子はそれから早々に新しい彼氏が出来た。その彼、慎吾と一年ほど交際した後に、結婚をし、それから二人の子供を授かった。
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