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「彩ちゃんも、もうそれくらいになるんだっけ。最近会ってないもんな~。幼稚園くらいまでのイメージしかないから、急にあったら驚いちゃうわ。」 「そうよ、彩なんてもう大変よ。ジャニーズが大好きでさ、キスマイだの、関ジャニだのって、のめり込んじゃって、コンサートも友達とだけで行きたいとか言い出すし、お年玉は全部そっちに使っちゃうし。お洋服ももう『マルキューのじゃなきゃ着たくない。』とか言い出して。『シマムラでも良いじゃない。流行ってるでしょ?』って、言うんだけどさ、『シマムラばっかじゃ、ダサいの!』とか、いっちょ前に言っちゃって。だから、たまに一緒に新宿や渋谷まで買い物に行くんだけどさ、そりゃもう大変よ。克也のがその点楽だったわ。」 「はぁ~、もう同級生は、そんな大きな子供のお母さんやお父さんだらけなんだね。私も一度くらいお嫁に行きたかったけど。」 同じように祈祷してもらったはずの有美だが、それっきり全くなかったと言う程でもないが、目立った程の色恋沙汰もないまま、気がつけば、結婚をせぬまま四十を軽々超えてしまっていた。結婚や子供という響きを聞くだけで、強烈に羨ましく思う気持ちは変わらないが、友人たち皆が結婚して十数年となってくると、どこの友人と会っても、決まって家庭の愚痴話を聞くことになる。その話を聞けば聞くほど、かえって恋愛や結婚が億劫になっていってるというのも、一方で事実であった。 「私からしたら、有美のが羨ましいわよ。誰にも縛られないし、自由だし。今も、あの会社でずっと働いてるんでしょ。もう役職もついて、給料も沢山あって、自由気ままでいいじゃない。」 家庭に収まっている友人たちが考える独身のイメージは、いつも「自由で気まま」。彼女たちと比べたら、確かにそうかもしれないが、彼女たちが思っている以上に、四十を超えた独り身の女の生活は、どこか切ない。
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