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「リハビリはどうだい?」
「うーん、つまんない」
「だろうな」
俺は精神科のリハビリがどういうものかなんて知らない。
だけど、簡単なリハビリなんかこの世の中に存在しないだろう……。
特に心の病は、人によって完治するまでに何十年という時間がかかる場合もあるらしい。
「ご飯も不味いし、点滴も痛いし、することないし、早く退院したいなぁ~」
ふと漏らした麻衣ちゃんの想い。
これがこの子の本音だろう。
そんな子に、俺はとんでもないことを突き付けようとしている。
また精神が病んでしまうかもしれない。
だけどそうするしかない!
「なぁ麻衣ちゃん」
「……え?」
シャッ!
俺は静かにカーテンを閉めると、麻衣ちゃんの目線を自分に向けるように仕向けた。
薄暗くなった部屋の中は、時計の音と互いの心臓の音が交互に鳴り響いている。
少しの沈黙の後、合わせてた目を皮切りに俺が覚悟を決めて言葉を続けた。
「悪いがキミのこと、少し調べさせてもらったよ」
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