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「ああそうだよ。世間一般で言う “盗み聞き” だな」
「っ!」
「お前がそんなことをしたくないってことぐらい分かっている。だけどどうしても、理香には知っていて欲しいんだよ」
理香が口を挟む前に、俺は喋り続ける。
理香の気持ちも分かるが、どうしても知ってほしい。
お前だから知っていてほしい。
だってそう望んだのは、理香自身だろう?
「私、……出来ません」
「理香っ!」
「だって……木綿先輩と麻衣ちゃんが今からどんな話をするのか分からないし、もの凄く不安なんですもの」
理香の言い分も分からないでもない。
それは、俺と麻衣ちゃんが彼のことを話すのでは? という心理からだろう。
……さて、どうかな。
「理香が知りたかった真実だ。聞いてきちんと受け止めるんだ!」
「でも……」
「それが、お前達2人が犯してきた罪の結果だ。それと……」
「それと……?」
言葉を詰まらした俺を心配するかのように、視線を向けてくる理香。
そこで俺はフッと笑うと、ドアの中へと姿を消した。
きっと理香は理解してくれたはずだ!
……そう信じて。
バタンッ!
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