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普段の疲れもあったのか、ベッドに横になった則子は、そのまま眠りについた。目覚めたのは、それから二時間後、時計の針は、夜の七時を指していた。
すっかり酔っ払ったまま熟睡してしまった則子は、一体今自分がどこにいるのかがさっぱり分からなくなった。
「あれ、ここどこだっけ。」瞼をこすりながら、記憶を取り戻す。「あ、、、川越?」ようやくぼんやりではあるが、自分が昼間ここにやってきた事を思い出し始めていた。
隣の部屋では宴会が行われていたはずなのに、すっかりそんな宴の声は全くは聞こえてこない。
焦った則子は、慌てて飛び起き、リビングの方へ向かっていった。宴の席にびっしりと並んでいた酒やつまみは、すっかり跡形もなく無くなり、片付けられたテーブルの上で、コーヒーを飲みながら、談笑をしている有美と陽子の姿があった。
「あ、有美、私さ、、、。」
「則子、起きたの?、すっかり気持ち良く眠ってたから、そのままにしちゃった。ごめんね。」
「いいんだけど、いいんだけど、みんなは?」
「さすがに帰ったわよ。みんなぐでんぐでんになりながら、ひょっとしたら、また二次会とか言って、飲んでるかもしれないけどね。」
「そうなんだ。」と、言いながら、一歩ずつテーブルに近寄っていく中で、則子は、「あっ」と、大きな声をあげる。
「どうしたの?」
「ねぇ、明智蜜香来てたよね。」
「来てたよ。」
「サイン!、サイン!、すっかりもらうの忘れちゃった。克也も彩も大好きなのに。」
子供のように悲しそうな顔をする則子を見て、二人は優しく笑った。
「大丈夫よ。私が代わりにもらっておいたから。二人の漢字間違ってないかな。かつや君ってこの漢字だったよね。彩ちゃんの方はしっかり覚えてたんだけど、克也君の方はちょっと不安だったから、ひらがなと漢字で二枚もらっておいたよ。」
「あ~、克也はこの漢字よ。間違ってなんかないわ、ありがとう、有美。二人とも喜ぶわ。」
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