40人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「お待たせ~」と、言いながら、淹れ直したコーヒーとケーキを抱えて陽子が戻ってくる。
「そう言えば昨日、純子ちゃんが彼氏と一緒に来てね、沢山ケーキ置いてってくれたんだけど、すっかり忘れてた。ちょっと食べてって。」
「あぁ~、純子ちゃん、彼氏出来たの?」
「そうなのよ。良かったわよね。もう二度と恋愛出来ないって落ち込んでたけど、新しい彼氏が見つかって絶好調みたいよ。」
「わぁ~、それは良かった。」
「あの、その純子って言う人は、何があったんですか?」
二人は一瞬顔を見合わせ、言ってもいいのか悩んだ顔をした。
「まぁ、そのうち会ったら、自分でも話すから、隠さなくてもいっか。」と、陽子は前置きした上で、話し始めた。
「純子ちゃんはね、結婚詐欺にあっちゃったのよ。それで、悩んでここに来て。」
「え、そんな事があったのに、許せたの?」
「そうね、いつまでもその過去に縛られてたら、ずっと楽しい事がやってこないから。」
「そうなの?、、、。って言うか、ここに集まる人って、平気でみんな自分の恥ずかしい事いいますよね。変じゃないですか?」
「変、、、かしら?、、そうかもね。」陽子は照れたように笑う。
「ねぇ、則子、今日私がどうしてここに連れてきたか分かる?」
「それくらい、私だって分かったわよ。許せるようになってほしいんでしょ?、でもさ、私の場合、許すもなにもって感じなんだよね。別に私だって、離婚したくないわけじゃないしさ、子供だっていない方がせいせいするくらいよ。だから、どうして、有美がここに私を連れてきたのか、さっぱり分からないわけ。有美が私を慰めたい気持ちは十分分かったし、ここに集まる人はみんないい人で楽しかったけど、私が来る場所じゃないでしょ。」
最初のコメントを投稿しよう!