94人が本棚に入れています
本棚に追加
(ちっ、浅い…)
掌底を喰らって背後の壁まで吹き飛んだオータムの姿に、内心舌打ちを漏らす
外部からの衝撃を内部へ直接伝える事で、内部から破壊する震盪剄を選んで打ったまではよかった、だが…
「がはっ…げふっ…!!」
「ちっ…!!」
情報を聞き出す為に手加減したのが仇となった…
あのパワードスーツ…アラクネとか言ったか…あれの装甲に若干の威力を軽減されて、意識を刈り取るまでに至らなかったみたいだ
「て、めぇ……ブチコロスっ!!」
「ちっ、やっぱりこうなるか…!!」
一瞬醜悪な表情を浮かべ、次に憎悪の籠った殺意全開の顔に変わったオータムが、先程までとは比べ物にならない速度で襲い掛かって来る姿に、苦い顔で横に跳ぶ
(くっ、神力…………いや、使っちゃまずい)
咄嗟に出そうとした力に、思わず力強く首を振る…さすがに未知の力を使えば怪しまれる
かといって、さっきと同じ震盪剄を打つのも無理だ…さっきのは油断があったからこそ出来た奇襲みたいなモノだし、あの足に阻まれたら意味が無い
「全身八つ裂きにしてやる…!!
脳ミソブチ撒けろっ!!」
「やなこっ…たっ…!?」
避けきれない足に手を当てた瞬間…オータムの顔が歪み、俺の第六感が警報を鳴らす
―バチッ!!
「が…あ…っ!!」
瞬時に手を離そうとした刹那、アラクネの足から放電が起こり、俺の全身を強烈な電流が走り抜ける…
(しま…っ…た…)
意識とは裏腹に肉体が活動を停止する中、俺には己の判断ミスに顔を歪める事しか出来なかった
最初のコメントを投稿しよう!