残された時間

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……カーテンを開けた。 お日様の光を浴びながら、深呼吸。 傍に置かれてあるのは2つの旅行カバン。 「理香……おはようございます」 笑顔でそう言った彼に、すかさず私も笑顔を作った。 パジャマの隙間から覗いてる鎖骨が綺麗すぎて、思わず目を逸らす…… 「刹那、起きたの?」 「うん」 「サンドイッチ買ってきてあるから、早く食べて」 「うん」 まだ腹部の痛々しい傷跡が残っているものの、彼は退院した。 無理をしてはいけないんだけど、これから少しだけ無理をしてもらう。 彼に誘われた “旅行” 。 私達2人は、これからそこへ向かうのだ。 場所は、海が近いということで軽井沢。 そこで静かに静養したいと言い出したのは、彼だった。 「早くしないと、新幹線に乗り遅れちゃうわよ?」 「乗り遅れたら、次のに乗ればいいですよ」 「もう、切符が無駄になっちゃうわ!」 なんてやり取りをしながら、私は財布を彼はサンドイッチを手にしていた。
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