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財布の中から、2人分の切符を取り出して出発時刻の確認。
彼はのん気にテレビの電源を入れている。
もう本当にマイペースなんだから!
「刹那ってば!」
「うん、分かってますよ。でもニュースだけ……」
何かを確認するように、必死にニュースに目をやる彼。
私は呆れた顔で、とりあえず彼のためにコーヒーを淹れることにした。
……その時。
けたたましく鳴り響くリビングの電話の音。
ビクッと肩を揺らして驚いた私だったけど、気持ちを落ち着かせて電話に出てみた。
「……はい、桐原ですけど?」
ここは彼の家。
なので自分の名を語るのに気が引けて、いつもそう言ってしまうのだ。
……でも新婚さんになったみたいで、恥ずかしい。
『理香か?』
「えっ、木綿先輩?」
電話の相手は、予想外の人物だった。
あの病院で会って以来、話すのも久しぶりで私の声は上擦っていた。
朝早くから一体何の用だろう?
声からしてかなり慌てているのが窺える。
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