初めまして異世界

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 騎士が全員眠ったのを確認した俺は馬車に近付き、にゅーっと手を伸ばして馬車をノックして開け放った。  すると中から王冠とティアラを頭に乗せた人物が馬車から出てきた。  「王さまと王妃さまとお見受けいたします。初めまして、スライムです」  軽く会釈してみると、王さまと王妃さまはポカーンとしてた。  まあ、こんな馬鹿でかいスライムを見るのは初めてか。  ああ、今俺、生き残った騎士たちを治療するために大きくなってんだよ。いやー驚いたよ、いきなり体が大きくなっからさ。  だけど、そのおかげで全員入れることができたんだけどな?  ちなみに、お二方はまだポカーンとしてます。  「おとうしゃま、おかあしゃま、どうしたんでしゅか?」  馬車の中からちっちゃいドレスを着た可愛い幼女が出てきた。  んで俺を見るなり目を輝かして小走りで抱きつこうとするも、途中で転んだ。  盛大に顔から転けたその子を伸ばした両手で優しく掴み上げると、その子を体の中に入れる。  (これだったら10秒で終わるな)  ほどなくして女の子が体から出てきた。また伸ばした出て優しく掴み、そっと地面の上に下ろす。  と、ここで王さまと王妃さまが現実にご帰還なされた。  「く、クリュン!! 早くこっちに来なさい!」  「え~、ぷよぷよ、だいすき~」  そう言ってクリュンと呼ばれた女の子は俺の体に抱きついてきた。  感触が気に入ったのか、グニグニと遊び始めたクリュン。伸ばしたり手を埋め込んでみたりと自由気まま。  俺は我が子のように微笑ましく見てます。けど、王さまと王妃さまはすごいそわそわしてます。  …しゃーない、助け舟だしてやりましょう。  「大丈夫ですよ、子供に危害は加えません」  「「え!? しゃべった!!」」  「うゆ?」  こてん、と頭を傾げる幼女……可愛いですね。だからといって、ロリコンになるつもりは無い!  まあ、地球に居たときはシスコンだったけど……  そんなことはどうでもいい!!  見事に王さまと王妃さまが物珍しい顔でこっちを見てるよ。しかも軽傷だった騎士たちも次々と目覚めてるから下ろす作業をしてると、武器を貸した騎士さんも出てきた。  「国王さま、王妃さま、ご無事で何よりです!!」  出てきて直ぐに2人の前に跪く騎士たち。残るは重傷の2人のみなんだけど、騎士たちはあろうことか俺に剣を向けてきた。 .
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