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起き上がると、不思議なことにあのボロボロだった学生服じゃなく、事故に遭う前の学生服を着ていた。
「…なんで俺、これ……」
「その疑問に答えましょう」
「…えっ?」
服を見るために下げていた頭を上げると、5mくらい離れた所に美女が立っていた。
ウェーブがかった腰まであるプラチナブロンドの頭髪、金色の瞳、聖母のような微笑みをうかべる口もと、整った鼻梁はまさしく美の集大成と云わざるを得ない。
それほどに美しい女性を前に、俺の時は止まってしまった。
「あらあら、お上手ですこと」
読心術。俺は何も言っていないけど、あの美女はまるで話していたかのように返してきた。
俺のこれまでの行為やおかれている状況、場所を鑑みてする行動は決まっている。
「お初にお目にかかります女神さま。私は獅子垣 煉蒔(ししがき れんじ)と申します」
もう速攻で土下座しましたよ。神さまにお逢いしたらまずこれでしょ。ジャパニーズDOGEZAですよ。
「ふふふ、頭を上げてください。これから大事なお話しをしますからね」
「はい」
頭は上げたけど体勢はそのまんまですはい。
「あなたはその身を犠牲にして実の妹を助けましたね? その行いを偶然唯一神さまが見ておられました」
「はい」
相手が話してる時は相手の目を見て。これ、社会の常識。
「その唯一神さまのお達しで、あなたは異世界に転生できることになりました。…スライムとして」
「はい。………え?」
今、このお方は何て言ったの?
「す、すみませんがもう一度『転生できることになりました』の後をお聞かせ下さい」
「スライムです」
……聞き間違いじゃなかったぁー…………
打ちひしがれていると、女神さまはこう付け加えた。
「更に唯一神さまはこう仰いました。『8つまでの願い事を叶えてやれ』とも」
それを聞いた瞬間、俺の頭はフル回転して、願い事を考え始めた。
そして、あれこれ悩みながら願い事を決めていった。
「その願い事でよろしいですか?」
「流石女神さま。読心術でもう私の願い事を」
「まあ、こればかりはほとんど自動で働いてしまうものですから。そんなことより、あなたの願い事である膨大な魔力に耐えれるスライムの体、膨大な魔力、鑑定眼、四次元空間、錬金術、あらゆる環境に適応できる能力、言語翻訳、家族への幸運は全て受理できます」
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