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昨日のうちにエルバスさんと話し合ってた僕は、ラプト・ラーグルの貸し出し料を無料にしようとしたエルバスさんをなんとか言いくるめて銀貨2枚払うことにした。
それでも正規の支払いより幾分安い結果になっちゃったけどね。
今僕たちはエルバスさんのお店の前で出発前の挨拶をしてた。
僕たちが見つけた中古の竜車にはラプト・ラーグルが専用のハーネスを取り付けられて竜車に繋がってる。
このハーネスはエルバスさんからの餞別ということで有り難く使わせてもらうことに。
「はい。あの子たちが立派な成竜になったらまた来ます。それまではさようならですね」
「ええ。あなたの旅に幸あれ」
「ありがとうございます、エルバスさん。それじゃあ…ハイヤ!」
「キュイィー」
僕のかけ声とともにラプト・ラーグルに繋がる手綱を操作して竜車を発進させる。
ガコンッという音を響かせて、僕らが乗った竜車は進み出した。今は街中だからそんなに速度は出せないけど、帝国から出てもそんなに速度は出さないと思う。
だって採取とかしながらの旅だからね。だけど、盗賊に遭遇したら惜しみなくそのスピードを発揮さてもらう予定だよ。
ガラガラと竜車を進めてくと、王国と同じような外門が見えてきた。
「止まれ。竜車内を確かめる」
僕は竜車を止めて門番さんの検問を受けることに。
検問自体は数分で終わって、通行許可がおりた。
「ご協力、感謝する。…開門!」
門番さんが扉に触れながらそう言うと、外門に光の線が幾重にも走って、扉が自動で開いてった。
「これからのあなた方の旅に幸あれ。お気をつけて」
「ありがとうございます。ハイヤ!」
「キュイィー」
ラプト・ラーグルは一鳴きすると、その脚力で竜車を引っ張ってく。
ここから、僕らの商人への旅がようやく始まった。
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