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「この体のことですか?」
『ええ。あなたのその体はその世界のスライムとほぼ同じです』
「ほぼ?」
『その世界のスライムは空気中に含まれる“レフル”という、魔力の元となるものを吸収して日々を生活しています。食べ物にもレフルは含まれてますので、人間だったときのように食事をすることも可能です』
「そうなんですか」
『まあ、スライムの場合は“食べる”というよりも“溶かす”といったほうが正しいですけどね?』
「ん~、こういうことですか? 人間はものを咀嚼して消化、吸収するけど、スライムの場合はそのまま消化、吸収する…ということですか?」
『概ねそんな感じです』
「分かりました。ありがとうございます」
『いえいえ。それでは、頑張ってください』
ピロリン♪ とまた音が鳴り、気がつくと目の前に手紙らしきものが落ちてた。
折り畳まれた手紙らしきものを開いてみると、日本語でこう書かれていた。
〔この手紙と一緒に擬人化の丸薬を送ります。1つ言い忘れてましたが、あなたの魔力内包量はドラゴン以上にしてますが、体外には出せないので必然的に魔力強化か体内での治癒しかありません。体内での治癒とは、対象を取り込んで傷を癒やす私がオマケでつけたあなただけの能力です。いつか役立ててください。それでは、これで本当に最後です。良き人生?を。
女神アテナ───〕
「アテナさまだったんだ……」
神話の中の神さまに逢ったということで、俺はしばらく呆けていた。
「…よし、いこう」
気を取り戻した俺は素材集めを再始動することに。しらみつぶしに晴樹の森を探し回り、晴樹の森を抜け出した俺は、今携帯小説でよくあるテンプレに遭遇していた。
舗装された街道で盗賊に襲われてる1台の豪勢な馬車。盗賊は20人ほどに対して護衛の騎士は7人。すでに3人やられているようで、黒こげの焼死体が1つと、頭と体が分断された死体が2つ。
他の騎士もかなり傷を負っている。
「しゃーない、加勢しますか。その前に錬金術で……」
騎士side
(くそ、数が多い!)
姫様の護衛中に盗賊の襲撃を受け、仲間が3人やられた。
1人1人の力量はそれほどでもないが、こうも人数が多いと…!
「…多勢に無勢か!」
「おらおら! さっさと死にやかれ!!」
!? しまった! 注意力が散漫になりすぎた!
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