880人が本棚に入れています
本棚に追加
横からの攻撃に対処できず、剣が明後日の方向に飛ばされた!
「くっ!」
「ヒャハッハ! おらぁ!」
盗賊が手にしたショートソードが突き出され、やられる! と思った時──
ガギィン!
金属音が鳴り響き、私は目を疑った。いつの間にか、私の目の前に盾が出現しており、盗賊の攻撃から身を守ってくれていた。
(い、いったい…何が……)
しかし、これだけではなかった。
「ぎゃあぁぁぁあ! 手が……俺の手があぁぁあ!!」
盾の向こうで盗賊がいきなり苦しみだしたのだ。
体をずらしてみると、盗賊の両手が手首から切り落とされていた。
私が困惑していると、耳元に声が聞こえた。
「力を貸してやる。この装備を使え」
慌てて振り向くと、さっき私を助けた盾と一緒に剣が地面に刺さっていた。どちらもモンスターの素材を使用してるらしく、鉄とは違った光沢が鈍く輝いていた。
朱色の剣と盾。一瞬戸惑ったが、私はその2つを取り、右手に剣、左手に盾を装備して盗賊へと切りかかっていった。
「はあぁぁぁぁあっ!」
ヒュッと風鳴りが聞こえ、対峙していた盗賊が纏っていた皮鎧をいとも簡単に切り裂いてしまった。
私が放った一撃で盗賊は沈み、私は剣の切れ味に驚愕しつつも、盗賊を倒していった。
「これで、ラストぉ!」
「ぐわぁぁぁぁあ!!」
盗賊の頭目を打ち倒し、戦闘は終了した。
「はぁ…はぁ、はー……くっ!」
体力、魔力とも限界を迎えた私はその場で膝を地面についた。
「ち、力が…入らん」
「そりゃあんたの魔力で切れ味を強化してるんだ、それに大人数の中での大立ち回り……体力、魔力とも限界を迎えてもなんら不思議じゃないさ」
あのとき、私が聞いた声がまた後ろから聞こえてきた。
「だ、だれ…だ……!?」
体の力を振り絞り、後ろを向いた瞬間、私は何かプルプルするものに呑み込まれた 。
「……ん、なっ…!」
目を開いて映りこんだのは、先の戦闘で生き残ったものの、重傷を負った4人と、軽傷ながらも私と同じで力果ててた2人だった。
状況が全く理解できず困惑していると、またあの声が降ってきた。
「今は眠れ、勇敢なる騎士たちよ」
その声と同時に抗えないほどの眠気が襲いかかり、私は簡単に意識を手放した。
スライムside
「よし、全員眠ったな」
.
最初のコメントを投稿しよう!