第1話

4/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
カーテンから入る光が眩しい あのときの恐怖を身体は覚えている クローゼットの制服を取り出し、2年ぶりに制服を着た 大きさに違和感は無くすんなり馴染んだ 部屋を出て階段を降りると父さんが黒いスーツを着て待っていた 「行けるか?」 心配そうに俺を見る父親 正直大丈夫ではない これから外に出るんだぞ 平気な訳ないだろ そんなこと、言えるわけがない 「…うん、行こうか」 玄関のドアを開けると一瞬白い色が視界を塞いだ しばらく光を浴びていない目には刺激が強かった 思わず足がすくむ だが、いつかは克服しなければならない 白い世界のあとに住宅が広がっているはずだが、目が眩み、ゆがんで見えた 吐き気を抑え一歩だけ家から外へ出た 二歩目、三歩目… よろよろしながら、俺は5年ぶりに外へ出た
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!