第1話

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…… ……… ーーーーー ようやく墓に着いた 少しだけ光に慣れた気がした 父さんはずっと手を握ってくれていた“大丈夫、俺がついてる”と、父の手から伝わってきた それがなかったらここまでこれなかったかもしれない 「母さん…」 父さんは花を替えて線香に火を付けたあと、懐かしそうに呟いた 父の最愛の人 ーーーーーーーーーーーーー 俺の母さんの記憶 7歳のとき 踏み切りの音と 人が崩れる音だった 家族で出かけた帰り 俺ははしゃいで二人を置いて先を走っていた 踏み切りで、線路に足が取られた 挟まって抜けないのだ もがいていると踏み切りが降りる音と電車が来る音がした さすがに慌てた俺は助けを求めた だが、踏み切りの音でかき消される 俺の声に気づいたのは母さんだけだった 母さんは俺の足が抜けると踏み切りの外へ突き飛ばした それと同時に 母さんが電車にひかれた 母さんが死んだのは俺のせいだった
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