冒頭

2/3
前へ
/93ページ
次へ
 俺の名前は中谷 健。突然だが最近、妙な夢に悩まされている。  それはそれは可愛らしいゴスロリの女の子が出てきて可愛くて気持ちよくて仕方がないものではあるのだが、実質はそうではないのだ。  まあ聞いてほしい。  俺の友人、茨木 拓人。通称タクと呼んでいる友人も、俺と同じ夢に悩まされている。  というか毎日二人で夢で頭を悩ませている。  さんざんウンウン唸って提供したものが彼女によって食され、「美味なり」な笑顔をもらえたなら、俺たちは解放され、現実世界に戻ることができる。  そう。そのために俺達二人は毎晩城の外れにある「数奇の森」に出かけ、食材を狩ってこなくてはならない。だから正直夢が終われる頃にはもう、へとへとだ。  その夢の話を恥ずかしいのでコソコソと二人でエア酒を酌み交わしながら語り合い、次への晩餐に向けての相談をする。  それが俺達二人の高校二年の淡き物語。  どうしても例の夢から解放されなくては。そう思って毎日を過ごす。  しかしながらどうやら、最近は現実の方も上手くいかなくなってきて……。まさか彼女の機嫌と関係があるんじゃ。  
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加