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第四章 復讐と妄執と #2
かと言って、矢をいなす動きを見せた少女も尋常では無い。
カナンの動きを見ていなかった男は、カナン目指して走り出した。
「このぉ!」
大きく剣を振り上げる。
「だから……なんで私の方に来るかな? 来るのかな?」
頬を軽く引き攣らせながらも、カナンは一瞬で前進。
男はいつの間にか懐に入っている、白い服の少女をぼんやりと眺めた。
『おや?』と思った時には視界が暗転。
受け身もとれずに、背中を地面に打ち付けて昏倒する。
足払いを入れながらの、払い腰での投げ……と言うより、引き手を離していないので投げ落としたと言ったニュアンスのが近い。
「まっ、待て! 降参だ」
残った盗賊は、ボーガンを放り出して両手を上げた。
正しくお手上げと言う意味らしい。
盗賊達は、子供相手にたかだが一分で壊滅したのだった。
(こいつらが弱すぎるのか? それとも俺が強すぎるのか?)
あまりに簡単に一蹴した為に、ガルンは自分の実力を計りかねていた。
歯ごたえが無さすぎる。
両手を上げた男の前に、ガルンは剣を肩に乗せてゆっくり近づく。
「うわ! 二十点!」
と、叫ぶカナンの声を聞いて疑問そうに振り返った。
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