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愕然とする盗賊達の顔色は土気色だ。
顎を強打された男も脳震盪で地面に這いつくばっている。
カナンが動いたのは僅か10秒足らず。
武装した屈強な男二人と、隠し玉の筈の魔術師は一瞬で駆逐されたのだった。
「えーと、さっきの私のプランを覚えてるかな? 覚えるよね?」
カナンは、はにかんで可愛いらしく努めて言ったつもりだったが、何人かの盗賊には悪鬼の形相に感じられた。
オーガ【食人鬼】か、ラインカンスロープ【獣人種】と戦っているような、圧倒的な身体能力の差を思い知らされるような恐怖。
目の前の小柄な少女の体型では有り得ない、スピードとパワーは軽い反則に感じるだろう。
だが、顔色を変えない人間が三人いた。
ダラックとガダラ、そしてギュレーである。
「何だ~あのガキは? どっかに肉体強化の魔法かけてる魔術師でも隠れているのか?」
ガダラは手にした短刀の平部分を、ぺちぺち手の平で叩きながら周りを探る。
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