第五章 正邪の天秤 #2

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「てめぇは、あの時のガキか! よくも指落としやがって、テメェの指全て切断してやんよ!」  歯をガチガチと威嚇するように噛み鳴らしながら、鬼の形相へと変化する。 「姉さんの仇……とらせてもらうぞ!」  ガルンは一言吠えると、有無も言わさず前進した。  ダラックも手に奇怪な武器を取り出すと走り出す。  ソードブレイカーと呼ばれる刀剣破砕専用の武器だ。  腕に被せる様にはめる特殊な形状で、刀身はたいして長くは無い。だが、所どころに剣を引っ掛ける溝が付いていおり、剣を引っ掛けて、平部分から折るように使うのがこの武器の特長だ。  双剣使いがサブで使うのも珍しいが、単身で使う人間はほとんどいない。  何故なら殺傷用ではなく武器破壊用だからである。  戦場で相手の武器のみを狙うには、かなりの技量がいるからだ。  先に剣を振るったのはダラックだった。  横なぎに剣を走らせる。  しかし、チャクラ全開のガルンの身体能力は圧倒的に高い。  “見て”からしゃがんで剣閃を躱と、ダークブレイズを深々と胴体に突き刺した。 「てっ?! テンメエ~」  余りの瞬間芸に驚きを隠せない。  一合も必要とせずに、突き一本で勝敗は決したのだ。  吐血するダラックを煩わしく、足で蹴り飛ばして剣を引き抜く。 「まずは一人目だ」
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