第六章 連鎖する悪夢 #2

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(痛い……痛い……イタイ……ITAI……I・TA・I) 右肩の焼けるような痛み より、ガルンは心に受けた痛みに悲鳴を上げた。 溢れてくる感情が頭を圧迫する。 身体が破裂するような程、感情が全てを覆い尽くす。 また、姉を失ったのと同じ痛み。 脱力感、失望感、消失感、恐怖感など色々な感情が胸を突き破る程溢れていく。 ガルンは人事のように、心に亀裂が入る音を聞いた気がした。 「……?戦意喪失か」 身動き一つしないガルンの様子を、レッドレイは詰まらなそうに眺める。 他の騎士も同様らしく、一様に力を抜いたようだった。 クライハルトとアルダークだけは無言で見つめる。 「何故……グラハトを……殺した」 怨嗟のような声が、低く鮮明に響き渡る。 全員がやけに通るその声に、ゾクリとお寒気が走った。 ガルンの身体から黒い靄の様なものが溢れている錯覚に陥る。 「……貴様は知らないかも知れんが、こいつは大罪人だ。かつて世界を闇に誘う先兵だった男だ。こいつに殺された人間は数知れない」 アルダークはその問いに対して淡々と語る。 その言葉を聞いてもガルンは身じろぎもしなかった。
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