第六章 連鎖する悪夢 #2

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「ふざけるな!」 かじかむ左腕を動かして、右肩を強く握りしめた。 傷の痛みによって体が弛緩したが、お陰で神経に喝が入る。 (このまま見ている訳にはいかない!) ガルンは深呼吸すると、何とか走りだした。 チャクラを全て開放して脚力に回す。 鬱蒼とする森を突き抜け、目印の様に上がる黒煙目掛けて疾走する。 障害物が多い森の中を軽やかなステップで駆け抜けるが、それでも思ったより時間がかかる。 「くそ!これじゃ駄目だ!」 立ち止まるとダークブレイズを引き抜く。 一瞬躊躇したが、ガルンは歯を食いしばって前方を見据えた。 (すまない……) そう言って森に一礼する。 魔剣に炎が燈る。 チャクラを総動員して剣に力を回す。 (最小最短最速の障害物のみを打ち砕く)! 腰を落として、突きの構えで身構える。 爆発的に膨れ上がった炎の色が蒼く輝き、渦巻いて刀身に集約していく。 「はああ!!!」 裂帛の気合いと共に、焔の弾丸を打ち出した。 超高熱波の焔の弾丸は、 直線にある木々を、立ち塞がる岩盤を一瞬で焦がし尽くし、生じた熱波はその他の雑多な木々や、障害物をねこそぎ弾き飛ばした。
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